時系列から全体を把握しよう!PPI編【オメプラール~タケキャブ】

PPIはどこで働いていても目にする機会が多いくらい、現在主流の薬になっています

さらに最近では新しい機序であるP-CAB(カリウムイオン競合型アシッドブローカー)なども出てくるなど、どんどん新しい薬も出てきている分野だと思います

逆に考えるとこれだけ増えてくると、新人や若手の薬剤師にとってはわからないことも増えてくるのではないでしょうか?

  • 何が違うの?
  • どれが新しい薬なの?

など把握するのにも一苦労するかもしれません

今回はそんな若手にとっての悩みが少しでも解消できるような記事を目指します!!

情報が多すぎてもわかりづらくなると思うので、それぞれの簡単な特徴を抑えるように心がけています

作用機序や後発品名などは今回省略していますのでご了承ください・・・

  1. オメプラール 1991年
  2. タケプロン  1992年
  3. パリエット  1997年
  4. ネキシウム  2011年
  5. タケキャブ  2015年

※インタビューフォームの情報を参考に紹介しています。訂正箇所等ありましたらご連絡頂けると助かります

目次

PPIの特徴

まずPPIの大まかな特徴だけおさえておきます

従来はH2ブロッカーが主流だったので特徴とはいいますが、H2ブロッカーと比較しての特徴になりますが・・・

  • 作用発現時間
  • 持続性
  • 時間帯
  • 代謝
  • 日数制限

作用発現時間

PPIの作用発現時間はおよそ6時間~

H2ブロッカーと比較すると効果が出るまでに時間がかかります

これはあくまでPPIの時間で、P-CABであるタケキャブは効果が出るまでは短くなります(後で説明します)

その点ではH2ブロッカーとタケキャブには差がなくなってるのかもしれませんね

持続性

持続時間は24時間以上と長め

H2ブロッカーは持続時間が短いので1日2回ですが、PPIは1日1回がほとんどになります

時間帯

PPIは夜間に比べると日中の胃酸分泌抑制が強いと言われています

逆にH2ブロッカーは夜間の方が強く効果が出ます

代謝

PPIの代謝はほとんどが肝代謝になっています

H2ブロッカーはプロテカジン以外はすべて腎排泄の薬となっています

日数制限

PPIを扱う中で最も気にすることかもしれません

PPIの適応症には消化性潰瘍や逆流性食道炎、H.pylori除菌の補助などがありますが投与制限がある場合があるので注意が必要です

胃潰瘍だと8週間、十二指腸潰瘍だと6週間、逆流性食道炎の維持療法では長期投与可能など

さらに薬剤や規格によっても適応症が異なるので、わからない場合は添付文書を見て調べましょう!

PPIの始まりから現在まで時系列で見てみよう!

PPIの特徴はなんとなく把握できたでしょうか?

ここからは時系列にそって各薬剤を追っていきましょう!

初のPPI オメプラール

最初に出てきたPPIはオメプラールで1991年に世の中に出てきました

成分名はオメプラゾールです。内服薬だけでなく注射製剤もあります

現在はネキシウムが出てきたこともあり、そこまで頻繁に見ることはなくなった印象です

課題としてはCYP2C19の影響を受けるので、相互作用に気を付ける必要がありました

唯一のOD錠 タケプロン

次に出てきたPPIはタケプロンですが、1992年にカプセル剤として出てきました

オメプラールの1年後ですね

成分名はランソプラゾールです。この薬も注射製剤があります

タケプロンもCYP2C19の影響を受けるので相互作用に気を付ける必要があります

この薬剤の特徴としてはPPIの中で唯一のOD錠だということです

タケプロンOD錠が出てきたのは2002年。

飲みやすさという点では他のPPIよりも優れている点かもしれないです

未だによく使われているので、OD錠って使いやすいんだなぁと僕は勝手に思ってます

相互作用の少ないパリエット

3番目のPPI。1997年に出てきました

成分名はラベプラゾールで、オメプラールやタケプロンとは違い注射製剤はありません

僕が新人の時はランソプラゾールとラベプラゾールがごっちゃになってたので、正直嫌いでした

今までの薬と比較して違うのは「相互作用を受けにくい」という点だと思います

オメプラールもタケプロンもCYP2C19の影響を受けるので気を付けなければいけなかったんですが、パリエットは比較的気にしないでも大丈夫な薬になっています

余談ですが規格には注意しましょう!

2015年に低用量の5mgが承認されました

低用量アスピリン投与時の消化性潰瘍発生の抑制に使われるんだと思いますが、普段10㎎で使うのに慣れてしまうと規格が違っていることに気が付かない可能性があります

普段から皆さんもされているとは思いますが、規格にはしっかりチェックしてインシデントをなくしていきましょう!

オメプラールのネキシウム

2011年にネキシウムという薬が出ましたが、この薬は「オメプラゾールの光学異性体(s)」です

つまり「オメプラールを改良して出てきた薬」だということです

オメプラールをほとんど見なくなったのはネキシウムが出てきたからとも言えます

成分名はエソメプラゾールです

オメプラゾールと違ってCYP2C19の影響を受けないため、薬物動態及び薬力学作用の個体間変動が小さくなりました

さらにこの薬は顆粒剤もあるので、カプセルが飲めない嚥下困難な人や低年齢児にも使用可能です

2020年売上金額5位につけています!これらの特徴を考えると納得の結果ですよね

新規の作用機序 タケキャブ

2015年から新しい作用機序として発売されたタケキャブは既存のPPIとはまた違った特徴をもっています

厳密にいうとタケキャブはPPIではなくP-CAB(Potassium-Competitive Acid Bloker)と呼ばれる薬になります

タケキャブは酸による活性化が不要で酸に安定という特性を持っています

よって他のPPIよりも作用発現が速いのが特徴です!

従来のPPIの課題を克服した薬と言っても過言ではないと思います

これはピロリ菌の除菌でも如実に現れており、従来のPPIよりも治癒率が高いと言われています

その背景もあり、昔は除菌治療薬セットで同じ武田が出しているランソプラゾールが含まれている「ランサップ」や「ランピオン」という薬がありましたが、今はタケキャブに置き換わっています

「ボノサップ」「ボノピオン」ですね

成分はボノプラザンなので、その頭の「ボノ」から商品名をとっているようです

こういった背景も把握しておくとランソプラゾールとの比較がしやすいなと感じますね

まだまだ出たばかりでエビデンスは他よりも少ないかもしれませんが、それでも2020年売上金額4位と、ネキシウムを超えてきてるので相当良い薬だということがわかりますね!

まとめ

最後にもう一度まとめます!

  • オメプラール →  最初のPPI。相互作用(CYP2C19)に注意
  • タケプロン  → OD錠あり。相互作用はオメプラールと同様に注意
  • パリエット  → 上記2つよりかは相互作用の影響を受けにく。5mgに注意
  • ネキシウム  → オメプラールの改良版。顆粒剤あり
  • タケキャブ  → 新しい機序。従来のPPIより優秀という印象 

新しくなるほどメリットがどんどん増えていく印象ですが、まだまだタケプロンやパリエットなども使われています

オメプラールは自分の体験では処方はないわけではありませんが、あまりみかけないです

オメプラールを使うならネキシウムを選択するという感じでしょうか?

それぞれのざっくりとした特徴や比較は今回の記事で把握していただけたでしょうか?

詳しいデータや適応症などは慣れるまでは添付文書を確認しながら投薬し、徐々に覚えていくといいと思います!

今回は以上です!!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

目次
閉じる