【吸入抗コリン薬】時系列で学ぼう!吸入薬シリーズ第3回

前回はβ2刺激薬の話をしましたが今回は抗コリン薬の話になります!

吸入ステロイド、β2刺激薬の話に興味がある方はこっちの記事も覗いてみてください!

抗コリン薬の最近の薬となると「LAMA」という単語が出てきます。就職してから1年はこの単語を知らなかったんですよね・・・

  • LAMA:long-acting muscarinic antagonist 長時間作用性抗コリン薬

現在発売されている抗コリン薬の中で僕らが服薬指導に関わる薬を時系列で発売順(国内)にならべると以下の通りになります

  1. アトロベント 1981年
  2. スピリーバ  2004年
  3. シーブリ   2012年
  4. エクリラ   2015年
  5. エンクラッセ 2015年

抗コリン薬になると単剤で使われてるのは「スピリーバ」が多いのではないでしょうか?

それ以外の処方はほぼ見かけたことがない気がします・・・

ほとんど配合剤として使われるのがほとんどかもしれませんね

※インタビューフォームの情報を参考に紹介しています。訂正箇所等ありましたらご連絡頂けると助かります

目次

吸入抗コリン薬の特徴

吸入の抗コリン薬といえば喘息で使うというよりかはCOPDの第一選択薬という印象が強いイメージです

喘息治療においては心疾患などの合併によってβ2刺激薬が使えない時は使われてたくらいかもしれません

しかし、「スピリーバ」に『重症持続型の気管支喘息』への適応が追加され、その後重症という制限が解除されてからはよく見かけるようになってきたんだと思います

それ以外はほとんど配合剤として使われることが多い印象ですね

まず吸入薬のデバイスとしては

  • 定量噴霧式吸入器(p-MDI)
  • ドライパウダー吸入器(DPI)
  • ソフトミストインヘラー(SMI)

があります

デバイスのそれぞれの特徴についてはここで書くと長くなってしまうので、これも別記事でまとめる予定です

時系列で並べた各薬剤の特徴

それでは吸入抗コリン薬を時系列で並べつつ、特徴をまとめて見ようと思います

今回もいつものように、インタビューフォームに記載されている「開発の経緯」から読み取った情報でまとめています!

アトロベント(1981)

副交感神経が刺激されることで気管支収縮が起こることが判明し、気管支収縮における副交感神経の役割が重要視されるようになりました

それで出てきたのが「アトロピン」でした

そこからアトロピンの誘導体として色んな薬の開発が進められてきましたが、その中の1つがアトロベントです

アトロベントはアトロピンの4級塩化した誘導体のようで、気管支平滑筋に選択的に作用し、吸入剤として顕著な気管支拡張作用を持つ薬として当初は開発されたようですね

成分はイプラトロピウム

デバイスはエロゾルという名前でpMDI、無水エタノールも使われています

国内では元々1981年に発売されましたが、pMDIの噴射剤として「CFC」が使われていました

そのため、2002年に「CFC」を使ってないものが再度発売されています

  • オゾン層保護の観点でフロン(CFC)が規制されるようになったのが原因

ですので現在のアトロベントの添付文書では発売日が2002年となっていますが、実際はさらに前の1981年となります

現在使われている吸入器の中では最も初めに出た薬ですので、今のように長時間効果が持続するタイプではなく、1日3〜4回使う必要があります

スピリーバ(2004)

M3受容体からの解離半減期が長いという特徴をがあり、初めての1日1回投与が可能な薬剤「長時間作用性吸入気管支拡張剤」として発売されました

さらに既存の抗コリン薬よりも作用が強力になっています

成分はチオトロピウム

当初の適応は「慢性閉塞性肺疾患の気道閉塞性障害に基づく諸症状の寛解」のみでした

その後2014年に「重賞持続型の気管支喘息」に対しての適応が追加され、2016年には1.25μgという別規格のスピリーバが発売されると共に「重症持続型」という制限が解除されるように

現在もよく指導する機会がある薬ですね

発売当初はカプセル剤として発売されており、デバイス名はハンディへラーとDPI製剤でした

その後2010年にレスピマットという「ソフトミストインヘラー(SMI)」が発売されます

これは吸入液をソフトミスト化して噴霧する携帯型の吸入用器具でカプセルの時と比べ利便性が上がり、さらに効率よく肺に届くようになりました

カプセルではスピリーバの企画は18μgですが、ソフトミスト化することでレスピマットでは2.5μを2吸入とカプセルに比べると成分量が少なくなっていることからも肺へ届くやすくなっているということが分かりますね

先ほども話した通り、広範な重症度の喘息に対応するため1.25μgという規格の製剤が2016年に出てくることになったのでした

初めて長時間の抗コリン薬が出てきたわけなので、ここから先の薬が「LAMA」ということになります

ちなみに現在出ている単剤のLAMAの中で喘息に使えるLAMAはスピリーバだけのようです

「LABA」であるオルダテロールと一緒になった薬『スピオルト』が存在します

シーブリ(2012)

成分はグリコピロニウム

デバイスはフリーズヘラーといってDPI製剤です

この吸入器の特徴は「透明なので吸い残しの確認がしやすい」ということだそうです

1日1回の吸入抗コリン薬で「LAMA」になります

当時「LAMA」は「LABA」と並んで安定期のCOPDの第一選択薬でしたが、国内のLAMAは1つだけと選択肢が少ない状況でした

そこで国内2つ目の抗コリン薬が出てきたことで吸入治療の選択肢が増えたというのが、当時シーブリが出たことによるメリットと考えられていたようです

適応はCOPDのみ

LABAであるインダカテロールが一緒になっている吸入薬「ウルティブロ」も存在しています

エクリラ(2015)

成分はアクリジニウム

デバイス名はジェヌエアで新規のDPI製剤

自分も実際に触ったことがないので詳しくは分かりませんが、「音と信号で正しく吸入できたか確認できる」特徴があるようです

今までの「LAMA」は1日1回で吸入するタイプでしたが、この薬は1日2回で吸入する必要があるようです

なので正直なところ、新規のデバイスであるという点以外ではメリットは感じることが出来ませんでした

実際他のLAMAは配合剤が出てますが、エリクラは出ていないのです

適応はCOPDのみ

エンクラッセ(2015)

成分はウメクリジニウム

デバイスは「エリプタ」でDPI製剤、「1アクションで操作可能」という特徴を持っています

エンクラッセは1日1回で吸入するタイプの「LAMA」となってます

適応はCOPDのみ

LABAのビランテロールトリフェニル酢酸塩と一緒になった薬「アノーロ」が存在します

興味深いなと思ったのは配合剤の「アノーロ」が2014年に出てるのに対し、単剤の「エンクラッセ」が翌年の2015年に出ていることですね

それもあってか「アノーロ」の処方を見ることはありますが、今まで「エンクラッセ」には当たったことがないなぁと

まとめ

今回まとめになります

  1. アトロベント アトロピンの誘導体製剤。1日3〜4回の吸入が必要
  2. スピリーバ  最初のLAMA。喘息でも使用可能に。単剤で喘息に使える唯一のLAMA
  3. シーブリ   国内で2番目のLAMA。LAMA治療の選択肢が増えた。COPDのみ
  4. エクリラ   1日2回の吸入が必要。新規DPI製剤。COPDのみ
  5. エンクラッセ 1日1回のLAMA。配合剤のアノーロが先に出た。COPDのみ

こうしてまとめてみると単剤で喘息に使えるLAMAはスピリーバだけですので、呼吸器を専門的に扱うところでない限りは「スピリーバ」しか使うことがないのかなと感じます

実際に自分が勤めている場所でもスピリーバの吸入指導はありますが、それ以外はほとんど記憶にありません

COPDの患者さんが多い場所でははよく使うところもあるのでしょうか?

ですので基本的にはスピリーバと配合剤を最初に抑えておくのがベターかもしれませんね

本日は以上になります!お疲れ様でした!

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