今回は高脂血症治療薬の中でもよく目にする「スタチン系」薬剤について紹介します!
皆さんの勉強の参考になれば幸いです!
スタチンは大きく分けて「スタンダードスタチン」と「ストロングスタチン」にわけられています
ストロングスタチンが出てきたことで、従来の薬がスタンダードという括りになったんだろうということが時系列から見て感じ取れました!
- メバロチン 1989年
- リポバス 1991年
- ローコール 1998年
- リピトール 2000年
- リバロ 2003年
- クレストール 2005年
1〜3がスタンダードスタチン、4〜6がストロングスタチンと言われています
スタチン系薬剤の特徴
まずは全体的にスタチン系薬剤に共通する特徴について
ざっくり2点です
- LDL-Cを下げる作用が強い
- 副作用(横紋筋融解症)に注意
LDL-Cを下げる
スタチン系薬剤の高脂血症治療薬としての特徴はLDL-Cを下げるということです
中性脂肪が高い場合では他の薬剤を選択すると思いますが、LDL-Cが高い場合はスタチンが選択されると思います
そして、そのスタチンの中でどの薬剤を選ぶのか?という話になるわけですね
副作用
この薬剤で最も有名な副作用は「横紋筋融解症」でしょう
スタチン系が出ている時は「筋肉痛」「尿の色」などチェックする人も多いと思います
他にある重大な副作用としては例えば
- 免疫性壊死性ミオパチー
- 肝機能障害
- 末梢神経障害
などが挙げられますが、薬によっても違うのでそれぞれご自身で添付文書を確認してみてください!
時系列で並べた各薬剤の特徴
それではスタチン系の薬を時系列で並べつつ、特徴をまとめて見ようと思います
スタンダードスタチン
先ほども書いた通り、スタンダードスタチンは最初に発売されたメバロチンからストロングスタチンが出る前までの薬になります
最初のストロングスタチンは「リピトール」なので
- メバロチン
- リポバス
- ローコール
ですね
最初のスタチン:メバロチン(1989)
国内で一番最初に発売されたスタチンになります
成分はプラバスタチン
今でも使われてる頻度が非常に多いと感じてます
最初に出て、未だにこれだけ使われてるのは素直にすごいなと感じました
特徴としては
- 水溶性
- 肝機能障害の禁忌の記載なし
- 細粒あり
水溶性のため相互作用が少ないというメリットがあります
さらに細粒という剤形もあるため、剤形の選択肢が増えるのもメリットとして考えても良さそうです
しかし、自分はまだ細粒が処方されているのを目撃したことがありません
個人的には細粒があるメリットを実感としては持てていないのが正直なところになります
スタチン系の薬剤は重度の肝機能障害には禁忌だったりすることが多いんですが、メバロチンにはその縛りがないのも使いやすい理由の1つかもしれません
2番目のスタチン:リポバス(1991)
成分はシンバスタチンでメバロチンについで2番目に出てきた薬ですが、メバロチンに比べると使われてる頻度はそこまで多くないように感じます
時期的にもそこまで期間が空いてるわけではないので、メバロチンと比較してもそこまで特徴という特徴は見つけられなかったです
元々は5mgと10mgの規格があったんですが、それだけ血清脂質低下効果が不十分(高脂血症診療ガイドラインの治療目標値)ということで、さらに強力な効果を示す用量を再検討したようです
その結果20mgという規格が出てきたようです
ちなみに副作用の発現頻度はどの規格でも差がないというデータがあるみたいですね
初めて化学合成により見出されたスタチン:ローコール(1998)
成分はフルバスタチン
書いてあるとおり、初めて化学合成によって見つかったスタチンのようです
今までの薬は微生物の代謝由来でした
既存の薬とは異なる骨格を持つのが特徴です
これもメバロチンに比べると使用頻度としては見劣りするのかなという印象ですが、「化学合成で見つかった」というのが今後のスタチンの開発にとっては重要だったのかなと感じました
ストロングスタチン
これ以降に発売されるスタチンは全てストロングスタチンということになります
つまりスタチンの歴史というのは「より効果を強く」という点に重きを置いてたのかもしれませんね
ストロングスタチンは比較的どの薬剤も使われてる印象です
マイルドだとメバロチン、強くしようとするとストロングスタチンのどれか?
という印象が個人的にはあります
最初のストロングスタチン:リピトール(2000)
ストロングスタチンの中で一番最初に出てきた薬です
成分はアトルバスタチン
特徴としてはもちろん「従来の薬より強く血清コレステロールを下げる」という点ですね
強い作用を持つスタチンということで、病態によって治療の選択肢が増えたのではないかと勝手に想像しました
開発に関わるほとんどの試験が国内中心:リバロ(2003)
成分はピタバスタチン
国産初のストロングスタチンになります
全合成HMG-CoA還元酵素阻害剤で、開発に関わる試験がほぼ国内中心だったとインタビューフォームに書いてありました
日本でのデータが多いんだったらもっと使われてもいいような気はしますけど、クレストールに比べると見劣りするような気はします
主に胆汁排泄の薬でCYPによる代謝をほとんど受けないという特徴があります
水溶性でリピトールより効果が強い:クレストール(2005)
成分はロスバスタチン
おそらくストロングスタチンの中では最も使われてる薬だと思います
水溶性とは言いますが、これはpHにより変動するということです
主に胆汁排泄でCYPによる代謝をほとんど受けないという特徴があります
スタチンの中では一番最後に出た薬であり、効果も他よりは強そうで、水溶性だということがよく使われてる理由なんだろうなと感じました
今では後発品も出てるので余計に使いやすくなってるのだと思います
まとめ
今回まとめになります
- メバロチン 最初のスタンダードスタチン。肝機能障害に対する禁忌なし
- リポバス 2番目。脂溶性のスタチン
- ローコール 初の化学合成
- リピトール 最初のストロングスタチン
- リバロ 開発に関わるほとんどの実験が国内中心
- クレストール 水溶性でリピトールよりも効果が強いストロングスタチン
こうしてまとめてみると、スタンダードスタチンの各薬剤、ストロングスタチンの各薬剤ではそこまで大きな特徴の差はないような気がしました
しかし、スタンダードスタチンでは安全面でメバロチンが。ストロングスタチンでは効果が強く水溶性のクレストールがよく使われているのかと感じます
一番最初に出た薬と一番最後に出た薬が頻繁に使われていると考えると面白いなと感じましたが、皆さんはどうでしょうか?
今回はあくまで大雑把なスタチンの特徴についてですので、投薬の際は再度ご自身でも添付文書を確認してみてください!
本日は以上になります!!お疲れ様でした!!
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