ランタスXRの空打ちは3単位?その理由について考察

最近投薬をしている中で患者さんからインスリンの空打ちについて質問がありました

その患者さんがたまたま「ランタスXR」を使用していたため、空打ちは普通と違って3単位になるんですよと説明をしました

今では何の問題もなく説明できますが、ランタスXRが出た当初は「何単位だっけ?」と迷う時があったのを思い出しました

もしかすると自分と同じような状況になる方もいるかもしれないなと思ったのが、今回の記事でランタスXRの空打ちについてまとめようと思ったきっかけになります

先に結論だけ言いますと、記事のタイトルにもある通りランタスXRの空打ちは「3単位」です!

ポイントは「単位数」ではなく「ml」で考えるということでしょうか?

それではその理由について考察していきます

目次

通常のインスリンの空打ちは2単位

まずはランタスXRではなく通常のインスリンの空打ちからお話します

通常のインスリンにおける使用前の空打ちは「2単位」となっています

この空打ちが2単位である理由については別の記事で考察してるので興味があればそちらも参考にされてください!

これについては薬剤師の皆さんも投薬で説明すると思うので大丈夫とは思います!

ではなぜ2単位空打ちを行う必要があるのかということですが、そもそも空打ちを行う目的としては以下のことが考えられます

  • 空気を出す
  • 針がしっかり装着できているかを確認する
  • 注射器が正常に使えるか確認する

以下のことを目視で確認するために2単位が必要になるというのがメーカーの見解ですよね

針が装着できているかという点では「針から薬液が出ているか?」「針が貫通しているか?」を確認します

注射器が正常に使えるかどうかでいうと「カートリッジにヒビが入っていないか?」「故障していないか?」を確認することになります

空気を抜くのは大きい気泡で、空打ちしても抜けないような小さい気泡は注入機能や人体への影響はないようなのでそのままでOK

つまり、以上のことを確認するために空打ちが2単位必要になるという話になります

大事なのは「これらの要素を確認するための量が必要という話で、それがどのくらいの量なのか?」ということ

インスリンの単位数というのはあくまでインスリン量であり薬液量ではないので、これらのことを確認するためには薬液量がどれくらい必要になるかが考え方の基本になると思います

通常のインスリンの2単位は何ml?

ここで通常のインスリンの2単位はどれくらいの量になるかを計算してみましょう!

今回はランタスXRについての話なので、同じメーカーが作ってるランタス注ソロスター(※以降ランタスと略します)で考えます

ランタスは1筒は300単位なのはみなさんも御存知のところ

それでは何ml入っているかはご存知ですか?

正解は3mlです!

病院関係者はバイアル製剤も扱いますし、アクシデント防止の為ということで知ってる方もいるかもしれませんが、意外と調剤薬局の方は知らない人もいるのでは・・・?

ここから計算するとインスリン1単位というのは0.01mlということになります

つまり2単位ですと0.02ml使うことになります

ランタスXRの3単位は何ml?

それでは今回の記事の本題であるランタスXRはどうでしょう?

ランタスXRは空打ちが3単位で行うこととされています

でが3単位は何mlになるのでしょうか?計算してみます!

ランタスXR注ソロスターは1筒に450単位入っており、この時点でランタスより多い量が入っていることになります

さらに1筒に入っているのは何mlかというと

1.5ml

ランタスXRのインタビューフォームを見るとわかりますが、ランタスXRはランタスの有効成分の濃度を3倍にした量になっています

ランタスXR注は1.5mlに450単位、つまりランタスと同じ3mlで考えると900単位入っていることになるので単純に3倍量入っていることがわかりますね

つまり、これが空打ちが従来のランタスよりも多くなる理由となります

先程の計算で行くとランタスは1単位が0.01mlになりますが、ランタスXRも同様に計算すると・・・

ランタスXR 1単位  → 0.0033ml

となり、これを空打ちの3単位で計算すると約0.01mlとなります

つまり「ランタスXRの空打ちは3単位とランタスの2単位よりも多い量に見えますが、薬液量としては実際は半分の量」になるわけです!

これでランタスXRの空打ちの量が従来の2単位よりも多い単位数になる理由は説明できたかと思います

しかしここで新たな疑問が生じます

ランタスXRの空打ち量は少ない?

先程考えた結果をもう一度おさらいします

1キットの含有量空打ち1単位の薬液量空打ちに必要な量
ランタス300単位/3ml2単位0.01ml0.02ml
ランタスXR450単位/1.5ml3単位0.0033ml約0.01ml
ランタス注ソロスターとランタスXR注ソロスターの比較

この結果からランタスXRの空打ちが従来の2単位とは違って3単位である理由はわかりましたが、この結果から考えると

ランタスXRの空打ち量は少ないのでは?

という疑問が生じます

最終的に使う薬液量で考えるとランタスの0.02mlと比較してランタスXRは0.01mlと半分の量しか入っていないことになります

これについては悩んでもわからないのでメーカーに聞いてみることにしました

ランタスXRは空打ち3単位で臨床試験を行っていた

メーカーに問い合わせをしたところ、ランタスXRの空打ち量はたしかにランタスの量よりも少ないという返答を頂きました

実際それらの量で大丈夫なのか聞いたところ、ランタスXRの臨床試験では空打ちを3単位で行っており、それで特に問題はなかったと

つまり「ランタスXRの臨床試験は空打ちの量を3単位(0.01ml)に設定して行われており、特に臨床上問題なかったので大丈夫」

ということでした!

ないとは思いますが、患者さんからもしこの件について質問された場合は「臨床試験で問題がないことが証明されているので大丈夫ですよ」と説明するのよさそうですね

ランタスも1単位でいいのでは?

今度は逆に、「ランタスXRの量が3単位で大丈夫ならランタスも1単位で大丈夫なのでは?」という疑問が生じました

ただこれについてはランタスで2単位で空打ちを行っているデータがないという結論にしかならないと感じました

そもそもランタスXRはランタスと違って

  • インスリン濃度が3倍になっている
  • 総量が1.5mlと少ない

などと条件が違う部分があるので、同じ結果にはならない可能性があるからです

ですのでランタスも今まで通り空打ちは2単位で説明するのが確実だと考えます

まとめ

ランタスXRの空打ちが3単位である理由について紹介してきました

調べていく中で「空打ちの量としては少ないのでは?」という疑問が出てきましたが、メーカに問い合わせをすることで解決することが出来ました!

最後に簡単にまとめると、ランタスXRが空打ち3単位の理由としては

  • ランタスの濃度と違う
  • 1単位あたりの薬液量が少ない
  • 臨床試験は3単位で実施

ということになります

「ランタスXRの空打ちって3単位でよかったっけ?」と普段悩んでる方は、今回の記事内容を思い出してみてください!

今回の情報が皆さんの役にたりますように・・・

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