これって非BZD系?BZD系と区別出来るようにしよう!【非BZD編】

今回の話は非BZD系の睡眠薬についてになります

普段から睡眠薬を目にする機会はかなり多いので、その分服薬指導の回数も増えますよね

BZD系と非BZD系という分類があること、その特徴については勉強し把握しているかもしれませんが、新人薬剤師にとっては薬の名前を覚えるのに精一杯で区別ができない人もいるかもしれないです

「ハルシオンってBZD系だっけ?」とか「アモバンって非BZD系だっけ?」など

今回はそんな新人や若手の薬剤師が毎回感じているかもしれないこの問題を解決出来るような記事を目指していければと思います!

薬の種類はそこまで多くないので、BZD系と比較しながら全体が把握できればいいかなと思います

非BZD系の睡眠薬は現在国内で出ている薬は3つだけですので、こっちを覚えてしまえば区別がつきやすくなると思います!

  1. アモバン  1989年
  2. マイスリー 2000年
  3. ルネスタ  2012年
目次

BZD系の副作用が軽減された非BZD

非BDZ系の睡眠薬が使われる前、従来はBZD系の薬が使われていました

しかしBZD系の薬は副作用が出ることもあり、その欠点を改善して従来のBZDと異なる構造をもった薬を開発したのが非BZD系の始まりだと思います

ということで非BZD系の特徴を見ていきましょう

非BZD系の特徴はω1受容体へ選択性があることです

BZD受容体には

  • ω1
  • ω2
  • ω3

のサブタイプが存在しており、非BZD系の睡眠薬はこの中でもω1受容体に選択的に作用します

ω1は鎮静・催眠作用、ω2は筋弛緩作用・抗不安作用があります

従来のBZD系は選択性がなくどちらも抑えていたため、ふらつきや転倒のリスクがあったり、退薬症候などが出ることがありました

非BZD系はω1受容体へ選択的に作用することでBZD系の不都合な点を改善したと言えます

特にマイスリー(ゾルピデム)が選択性が高いようです

非BZD系睡眠薬の特徴

非BZD系の睡眠薬の特徴は上で説明したω1受容体への選択性もあることから、ざっくりまとめてこんなところだと思います

  • 現在ある非BZD系は全て超短時間型
  • 反跳性不眠や退薬症候が出にくい
  • 抗不安作用が弱い
  • 高齢者に対する開始量

全て超短時間型

現在ある非BZD系の睡眠薬は全て超短時間型に分類される薬になっています

BZD系の超短時間型の薬はハルシオンのみなので、超短時間型の薬だけで考えるとほとんどが非BZD系の薬ということになります

反跳性不眠や退薬症候が出にくい

BZD系と比べ反跳性不眠や退薬症候が出にくくなっているようです

反跳性不眠とは、『睡眠薬を連用していてよく眠れている状態で突然服用を中断すると、服用開始前より強い不眠が出現すること』

退薬症候は、『退薬時に一過性に不安・焦燥、振戦、発汗、まれにせん妄、痙攣などが出現すること』

のことです

全く出ないわけではないと思いますので、注意は必要でしょう!

超短時間型の場合は漸減法で減量、中止にするのがいいようです

抗不安作用が弱い

ω1受容体に選択性があるのでω2(筋弛緩作用・抗不安作用)に対する作用が弱いです

ですので、不安がある場合や他の精神的病態がある場合は非BZDよりもω1、ω2共に作用するBZD系の睡眠薬の方が効果が期待できそうです

高齢者に対する開始量

これはどちらかというと超短時間型の薬剤に関して言えることなんですが、高齢者に対しての開始量が定められています

たとえばマイスリーの場合、高齢者だと1回5mgから服用を開始することとなっています

それぞれ添付文書を確認して、問題ないか確認しておきましょう!

各薬剤の特徴

それでは各薬剤の特徴を国内での発売順に見ていきましょう!

もう一度おさらいすると

  1. アモバン  1989年
  2. マイスリー 2000年
  3. ルネスタ  2012年

となっています

初の非BZD系で2つ目の超短時間型:アモバン

従来の睡眠薬はBZD系の睡眠薬が主に使われていましたが、一番作用時間が短い薬は超短時間型のハルシオンのみでした

アモバンは超短時間型の新しい選択肢の1つになる薬として、従来のBZDとは異なる構造式を持つ薬として登場しています

成分はゾピクロンで特徴は以下の通り

  • 持ち越し効果(ハングオーバー)が少ない
  • 筋弛緩作用(ふらつき)が少ない
  • 麻酔前投薬の適応
  • 30日までの日数制限あり
  • 日中の苦味

などがあげられます

初めての非BZD系の睡眠薬なので上記2つの副作用が少なくなっているのが特徴です

処方できる日数は30日までなので長期処方には注意しましょう!

アモバンの欠点としては「日中でも苦味が残る」ことですね

添付文書を見てみると、アモバン服用による苦味が出る確率は4.18%となってます

アモバンの苦味は消化管から吸収された後、唾液として口の中に分泌されるのが原因のようです

そのため、ガムを噛んだりなど唾液の分泌を促すような行為はさらに苦味が増す可能性があるので注意しましょう!

ω1選択性が高い薬:マイスリー

今最も使われていると予想される睡眠薬です!

見ない日はないくらいの勢いで処方されている印象があるくらいなので、投薬する機会も一番多いのではないでしょうか?

成分はゾルピデム

特徴は以下の通り

  • 非BZD系の中でも最もω1選択性が高い
  • アモバンのような苦味はなし
  • 肝機能障害に注意
  • 30日までの日数制限あり
  • 統合失調症、躁うつ病に合併する不眠の適応なし

非BZD系の薬はすでにアモバンが出てるので、アモバンと比較してどうかというのがポイントになるかと思います

まずアモバンと違うのは「苦味がないこと」で、これだけでも満足度があがりそうです

そして他の薬剤よりもω1選択性が高く、ふらつきや転倒などのリスクが少なくなると考えられます

ルネスタおよびアモバンはω2受容体よりω1受容体に対して比較的高い親和性を示すものの、明確な選択制は示されていない.

引用元:「違いがわかる!同種・同効薬 改訂第2版」編集:黒山政一 大谷道輝

同様の理由で反跳性不眠や退薬症候も出にくくなっています

逆にω1選択性が高いからだと思うのですが、「統合失調症や躁うつ病での不眠」には適応がありません

ニトラゼパムとの統計学的同等性が検証されなかったのが理由のようです

以上のことをふまえても使いやすい薬だということが分かります!

新しい機序の睡眠薬は色々出てきてますが、これからもまだ使われていく薬の1つでしょう!

注意点として、他の薬剤と比べて肝機能障害が出やすくなっています

重篤な肝機能障害がある方にはマイスリーは禁忌となっているので気を付けましょう!

アモバンの鏡像異性体:ルネスタ

最後に出たのがアモバンの鏡像異性体(S体)であるルネスタです

成分はエスゾピクロン

特徴は以下の通り

  • 薬理活性の大部分を有するアモバンの鏡像異性体(S体)
  • 中途覚醒にも有効
  • 長期投与による耐性を示さない
  • アモバンに比べ苦味が少ない
  • 麻酔前投薬の適応なし
  • 日数制限なし
  • 食後投与だと効果減弱、遅くなる

簡単に言うと「アモバンを改良した薬」と言えるでしょう!

アモバンの欠点であって「苦味がある」という点を改良しています

ただ、「少なくなってる」というだけで「苦味はある」ので注意を

アモバンでは麻酔前投薬の適応がありましたが、ルネスタにはありません

他の非BZD系と違い、「日数制限がない」ので長期投与が可能となっています

また食後投与で「効果が減弱する」、「効果発現が遅くなる」ので食後から2時間くらいは間をあけてから飲むように指導しましょう!

まとめ

今回は非BZD系の薬を紹介しました!

こうしてまとめてみると非BZD系の睡眠薬は3つだけしかなく、全て超短時間型の薬となっています

非BZD系の睡眠薬をしっかり覚えておけば、BZD系との区別がつきやすそうだなと感じました

最後に私なりにはなりますが、簡単にまとめておきます!

  1. アモバン  最初の非BZD系睡眠薬。苦味がある。30日まで
  2. マイスリー 肝機能障害に注意。30日まで
  3. ルネスタ  アモバンの苦味を改良(なくなったわけではない)日数制限なし

今回はここまでになります。お疲れ様でした!!

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