時系列から全体を把握しよう!H2拮抗薬編

PPIが出る前は治療の主流だったと思われるH2拮抗薬ですが、昔はかなり画期的な薬だったようです

そんなH2拮抗薬ですが、新薬がPPIやタケキャブに移行していってることもあり話題になることも少ない印象です

その影響もあってか、新人や若手にとっては話題にあがることが少ないかもしれないです

副作用の頻度も少ないので詳しくしらないけど投薬している方もいるかもしれないですね・・・

今回はそんな方にとってH2拮抗薬の全体像を見直すきっかけの1つになるような記事を目指します!!

  1. タガメット  1981年
  2. ザンタック  1984年
  3. ガスター   1985年
  4. アルタット  1986年
  5. アシノン   1990年
  6. プロテカジン 2000年

※この記事はインタビューフォームの情報を参考に紹介しています。訂正箇所等ありましたらご連絡頂けると助かります

目次

H2拮抗薬の特徴

まずはざっくりとH2拮抗薬の特徴について考えたことをまとめてみます

  • 作用時間
  • 副作用発現頻度
  • 投与日数
  • 代謝

主にPPIと比較してこの4点について考えます

作用時間

まずは作用時間についてですが

  • 作用発現時間
  • 持続時間
  • 時間帯

にわけて考えます

作用発現時間

H2拮抗薬の作用発現時間はPPIに比べると早くなります

およそ2~3時間になるようです

ただ新しい作用機序のタケキャブはこの点が改善されているため、タケキャブと比較するとメリットにはならないかもしれないです

作用持続時間

H2拮抗薬の作用持続時間は数時間といわれています

PPIに比べると短いので1日2回と複数回で飲むことが多くなっています

時間帯

H2拮抗薬作用が強い時間帯としては

日中<夜間

となっています

PPIは逆で

日中>夜間ですね

副作用発現頻度

H2拮抗薬の副作用発現頻度は少ないとされていて、比較的安全に使えることも特徴の1つとしてあげられます

発生頻度としては1~2.4%となっているようです

比較的に自覚症状として多いのは発疹など皮膚症状、便秘や下痢などの消化器症状

  • 発疹などの皮膚症状
  • 便秘、下痢などの消化器症状

があるようです

また重篤な副作用にも注意しましょう

  • 血液障害(再生不良性貧血、汎血球減少症、無顆粒球症など)
  • Stevens-Johnson症候群

投与日数

PPIは保険適用上投与制限があり日数に制限がある場合がありますが、H2拮抗薬には制限がありません

そのため維持療法としてH2拮抗薬が使われる可能性があります

代謝

H2拮抗薬はそのほとんどが腎排泄の薬になっているので、腎機能には注意が必要です

その中で一番最後に発売されたプロテカジンだけは肝代謝になっています

H2拮抗薬を発売順に特徴を把握する

H2拮抗薬の特徴をおおまかに捉えたところで今度は発売年順にそれぞれの薬剤について見ていきましょう!

初のH2拮抗薬:タガメット

国内で初めて出てきたH2拮抗薬で成分はシメチジン

この薬が出てくるまでの治療法といえば

  • 食事
  • 手術
  • 制酸薬
  • 抗コリン薬
  • 防御因子増強薬

だったようで、H2拮抗薬が出てからは消化性潰瘍の治癒率が劇的に改善したようで、外科的手術も少なくなったようです!

今でこそPPIの存在が強くなってしまいましたが当時は画期的な薬だったんだということが今回調べて分かりました!

タガメットの問題点としては相互作用が多いこと

CYP3A4、CYP2D6の阻害作用があるため併用注意薬剤が多くなっている点に注意が必要となります

タガメットよりは相互作用が少ない:ザンタック

次に出てきたのがこのザンタックで、成分はラニチジン

タガメットに比べると相互作用が少なくなっているのが特徴だと感じました

ザンタックはCYP1A2、CYP2D6、CYP3A4/5を阻害します

相互作用が少なくなっているとはいえ、併用注意であるワーファリンやハルシオンなどには気をつけた方がいいでしょう

剤形の選択肢が多く相互作用が少ない:ガスター

おそらく最も目にする機会が多いと思われガスター、成分名はファモチジン

市販薬にもあるので、患者さんも知っている人が多いのではないでしょうか?

ガスターの特徴として、代謝にCYPの関与がないことがあげられます

タガメット、ザンタックよりも相互作用の影響が少なく、併用注意の薬剤が少ないです

併用注意の薬剤は「アゾール系抗真菌薬」のみとなっています

さらに剤形が豊富なので、選択肢が増えることもメリットとして考えられます

錠剤、口腔内崩壊錠、散財と患者さんの状態やニーズによって使い分けることが可能です

ちなみに国内で一番最初に発売された口腔内崩壊錠はガスターだそうで、そういった意味でも広く使われるようになったのではないかと思います

小児への適応あり:アルタット

アルタットは成分名がロキサチジン

小児への用量が添付文書に書いてある為、小児へ使うことが出来るH2拮抗薬です

インタビューフォームを読んでみると、「日本小児栄養消化器肝臓学会」からの要望で小児適応に対する開発を行ったのがきっかけのようです

今までの薬と比較してみると、粘膜保護作用も持っていることが違う点でしょう

アルタットもガスターと同様、CYPの関与がないようですので相互作用が少ない点は一緒ですね

この薬は徐放性の製剤であることも気になる点ですが、用法は1日2回となっています

ある程度の血中濃度を保てるので効果が持続する可能性があるということでしょうかね?

消化管運動・唾液分泌促進作用 未変化体尿中排泄率が最も高い:アシノン

見出しに書いたとおりの特徴を持ちます。成分はニザチジン

胃酸分泌抑制+消化管運動抑制+唾液分泌促進

アシノンも代謝にCYPの関与は少ないとされており、併用注意はそこまで多くないです

アシノンはH2拮抗薬の中で最も未変化体尿中排泄率が高いようで、腎機能には特に注意する必要がありそうです

H2拮抗薬では唯一の肝代謝型薬剤:プロテカジン

この系統の薬ではプロテカジンだけが肝代謝型の薬剤となっています

成分名はラフチジン

ただこの年あたりからPPIが国内でも使われるようになってきました

腎臓に問題がある方はPPIを使えばいいとなりそうなので、メリットとしては少し弱いのかもしれないなと感じます

CYP3A4、CYP2D6で代謝されるようです

プロテカジンの特徴的な作用として、胃粘膜の恒常性維持機構に関与するカプサイシン感受性知覚神経を介した防御因子増強作用があります

まとめ

最後に今回の情報をざっくりまとめておきます

  1. タガメット  初のH2拮抗薬、相互作用が多い
  2. ザンタック  タガメットに比べ相互作用が少ない
  3. ガスター   剤形多く、相互作用が少ない
  4. アルタット  小児への適応あり
  5. アシノン   未変化体尿中排泄率が最も高い。消化管運動・唾液分泌促進作用
  6. プロテカジン 唯一の肝代謝。カプサイシンを介した防御因子増強作用

日経メディカルの会員対象とした調査では圧倒的にガスターが使われている頻度が多く、次がプロテカジンという結果だったようです

ガスターの使用量の多さがダントツなのは日々仕事の中でヒシヒシと感じております

プロテカジンはやはり腎機能が低下していても使えるという点がメリットなのでしょう!

ちなみにわかる範囲でのH2拮抗薬の強さの比較だと以下のようになるみたいです

プロテカジン > ガスター > アシノン > タガメット

各H2RAで行われた動物を用いた薬理試験により、タガメットのH2受容体拮抗作用を1としたときのザンタックおよびアルタットを除くH2RAのH2受容体拮抗作用は、ガスターは10~148倍、アシノンが約10倍、プロテカジンが85.5倍である。プロテカジンを対象とした試験では、プロテカジンはガスターの1.9倍のH2受容体拮抗作用であると報告されている。この試験の結果からは、ガスターのH2受容体拮抗作用はタガメットの45倍であると換算できる。

引用元:「違いがわかる!同種・同効薬 改訂第2版」編集:黒山政一 大谷道輝

あくまで参考程度と考えましょう。各H2RA間での詳細な比較は困難とこの本にもありましたので・・・

とはいえガスター1強という印象なので、あまりここら辺の知識は活用される機会は少ないかもしれませんね

今回学んでみて、まず「相互作用」という欠点を克服し、その後は+αで何か特徴を加えていったという印象を受けました!

2000年以降はこの分野の薬は新しく出ておらず、PPIに移行してる印象です!

今後H2拮抗薬の新薬は出てこないかもしれないですね

今回はここまでになります、お疲れ様でした!

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